UnderStory

組織の石垣が、何で軋んでいるかの記録

種が死ぬところ

ここまで書いてきたものを、一枚に置き直しただけです。新しい話はありません。 末端はすべて型で、そこから現場の記事に降りられます。

種の道

生まれる条件(種がある、土壌がある、繋ぐ物差しがある)を、時間の順に置き直したもの。 種は需要と技術の両方が要り、その二つは別の部署が持っている。 どれも要るので、段のあいだが切れているだけで死ぬ。

種は一箇所から生まれるのではない。需要と技術は、別の部署が持っている。

営業需要を見つける

顧客接点を持っているので、需要はここに一番早く現れる。なぜあの契約が取れたのか、相手がいま何に困っていて何を言えないでいるのか。具体的に知っている。そして解が現実的だ。

R&D技術を持つ

作れるものは分かっている。だが、誰が困っているのかは、ここからは見えにくい。

継ぎ目 ── 需要と技術が、繋がらない

営業が気づいたことを研究開発へ届けるには、人を経由する。どこかで一人でも、いまはそれどころではない、と思えば終わる。壁があるのではなく、橋が無い。悪意は要らない。忙しいだけで止まる。

継ぎ目 ── 金の言葉に翻訳される

通すために整える。整えた先が需要を持っていなければ、通った時点で別のものになっている。ここだけは、通ったほうが死ぬ。

事業部種が育つ

通った後。運営として回し続ける段。ここは需要と供給で決まるので、外からでも一番読みやすい。全部が金に出るからだ。

この段は、まだ型が足りていない。通った後を書いた記事が少ないため。一方で、金に出るぶん外から観測しやすい段でもある。産業スケールの事例(Built to Last)が埋められるのは、たぶんここ。

経路の長さ

継ぎ目はひとつずつが「無いと死ぬ」条件なので、数が増えれば生存率は掛け算で落ちる。 同じ組織の同じ人が、経路を変えるだけで結果が変わるのはそのため。 組織の形というのは、継ぎ目の数を決める装置だと考えたほうがいい。

微改善よく通る
事業部の営業─事業部
継ぎ目 0

実働部隊を抱える事業部の営業が拾ったものは、同じ部署の中で実装される。需要を見つけた人と、やれる人が同じ屋根の下にいる。継ぎ目が無いので、死ぬ場所も無い。

社内の新規事業たいてい死ぬ
営業・R&D╎PJ╎事業部
継ぎ目 2(需要と技術が繋がらない / 金の言葉に翻訳される)

継ぎ目を二度渡る。しかも二度目は、渡れても別のものになっている。種の質の問題ではない。同じ種でも、この経路に乗せれば同じように死ぬ。

カーブアウト・ベンチャー資金の太さで決まる
営業・R&D╎PJ─外の資本
継ぎ目 1(資金が届くか)

事業部を経路から外すので、価値が曲げられない。代わりに、資金供給という別の継ぎ目に当たる。関所は消えたのではなく、入れ替わっただけだ。そして日本のその関所は、米国に比べて細い。── ただし、細いのは資金だけではない。この経路を選ぶには、決める側がそれを選択肢として持っていなければならない。社内でしか金を集めたことのない組織では、共同出資も切り出しも、検討の対象に上がらない。

だから大きい会社は、磨くのが得意で、生むのが下手になる。 能力の話ではなく、通す経路の長さの話だと思う。

そしてもうひとつ、経路が選ばれない理由がある。使ったことのない手段は、選択肢として現れない。下の層は企画書と稟議の書き方を教わらないので、提案として見做される形のものが そもそも生まれない。上の層は社内でしか金を集めたことがないので、 共同出資も切り出しも検討に上がらない。同じことが、上下で起きている。

死に方

種が死ぬOR

新しいものが生まれない、の裏返し。どれかひとつ起きれば死ぬ。

生まれる側は全部揃って初めて、死ぬ側はどれかひとつで。 だから「たいてい死ぬ」のは、誰かが怠けているからではなく、この形からそうなる。